回想法は、認知症の方に昔のことを思い出し、そして話してもらうことで脳の活性化や精神を安定化させるために行います。回想法には認知症の進行や抑制への効果が期待されることから、認知症の高齢者が多い施設やリハビリテーションの際などに活用されています。回想法ケアを実践できるようになれば、より多くの認知症の高齢者の心に寄り添える、頼りになる介護士を目指せるでしょう。回想法を実践する時は、介護士はできるだけ高齢者の情報を知っておくことが大切です。例えば、高齢者の年齢や出身地、好きな食べ物を知っていれば、質問をして上手に相手の話を引き出すことができます。相手も信頼できない相手にプライベートな話をしたいとは思わないので、まずは介護士がしっかりと高齢者に興味を持ち、寄り添う姿勢を示すことが重要です。
介護士が回想法を行う時は、なるべく心地よく会話続け、会話を終了する際もそれを意識しましょう。認知症の高齢者が話してくれる会話の内容は、楽しいものもあれば悲しいものもあります。回想法では楽しい思い出にシフトすることが基本ですが、話しているうちに高齢者自身が悲しい出来事を思い出すことも少なくありません。相手が辛かった経験を話した後に回想法を終了させてしまうと、その思い出したことをずっと引きずる可能性が高く、不安やストレスを増幅させる原因になってしまいます。楽しい話題で終わらせることにより、前向きな気持ちで満たされ、それが認知症予防や健康を維持しようとする活力に繋がるでしょう。